事業を運営する上で、売上代金の貸倒れほど馬鹿馬鹿しいものはありません。仕入、製造、販売といった、それまでの努力が最後の最後で水泡に帰すからです。
現金商売でもない限り、貸倒れをゼロにすることはできません。しかし、債権管理を適切に行うことでゼロに近づけることはできます。債権管理の第一歩は、その重要性を営業や経理の担当者に認識させることから始まります。
(以下、債権管理のページは、一部「鬼」のようなことも書いていますが、不良債権が原因で資金繰りに窮している会社を数多く見てきたことを踏まえ、会社防衛の手段として書いています。)
――●連鎖倒産の脅威
連鎖倒産−−得意先の倒産による債権の焦げ付きで、自社の資金繰りが立たなくなり倒産すること。これほど悔しい倒産はありません。自社の営業は順調に進んでいるのに、不渡手形をつかまされたばかりにすべてが台無しになってしまう。
倒産にまで至らなくても、資金繰りの悪化は免れません。支払が遅延している得意先を調べると、その得意先自体が不良債権に苦しんでいるケースも多くあります。
まさに、金づまりの連鎖です。
債権管理の最大の目的は連鎖倒産を防ぐことにあります。
――●資金繰りのイロハ
資金繰りにおいて、唯一最大の収入項目は売掛金(及び受取手形)の入金です。ここを読めないようだと、資金繰りの立てようがありません。最悪、資金繰りに失敗しての倒産もあり得ます。あるいは、それを避けるために必要以上に借入をせざるを得ません(実際、そうした会社は多いです)。
債権管理を行い、入金予定を確実に把握することは資金繰りのイロハのイです。
――●貸倒れ・債権管理の財務インパクト
貸倒れの財務的なインパクトは甚大です。たとえば売上10億円、利益5000万円(利益率5%)の会社が5000万円の貸倒れを出した場合、その損失を取り戻すには10億円(=5000万円÷5%)の売上が必要になります。翌期はまるまる1年間、貸倒れの穴埋めのために働かなければならないのです。
これはまた裏を返せば、債権管理の効果の大きさも意味します。上の例で、借入金1000万円返済するのに、営業ベースでは2億円の売上が必要なのに対し、債権管理の強化で売掛金を1000万円圧縮すれば同じ効果が得られます。
――●債権回収は早い者勝ち
資金繰りが苦しい会社の立場になって考えてみましょう。資金不足ですべての支払はできないとき、一般に「うるさく言ってくる」業者を優先に支払をしていくことでしょう。支払が遅延してもそれに気づかず、何も言ってこない業者には更に支払は後回しにされるに違いありません。
そのまま会社が倒産してしまえば、「呑気な」業者は貸倒れに遭うだけです。
債権回収は早い者勝ちです。いちばん足が早いのは、いちばん情報を握っている銀行です。銀行が債権回収に走ったあおりで支払資金が不足し、業者への支払が遅延するケースも多くあります。
貸倒れを防ぐには、債権管理を適切に行ない、「うるさい」業者になることが必要です。
――●被害を最小にする
経験的に言って、貸倒れの損失を大きくするのは、支払遅延に気づかず、そのまま取引を続け売掛金を膨らませるケースです。これで連鎖倒産したとしても、自業自得です。
支払遅延をタイムリーに把握していれば、その後の取引停止や債権保全策などにより被害は最小限に抑えられます。
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債権管理の巧拙は短期の資金繰りに直結し、場合によっては企業の存続をも左右します。