これまでの説明と重複するところもありますが、回収遅延・貸倒れの予防策を整理しておきましょう。対策としては、大きく次の4つを指摘できます。
@回収責任の明確化
A請求管理・回収管理
B契約関係の整備
C与信管理
@回収責任の明確化
「回収なくして販売なし」――。この言葉を知っている営業は、意外と少ない ものです。実践している者ともなれば、もっと少ない。なぜなら、販売は評価されても、回収は評価の対象とされないからです。
売上代金の回収責任は、第一義的には営業にあります。営業は「売って終わり」ではありません。経理が債権回収に乗り出すのは、非常事態を迎えたときです。
会社が成長モードに入り、「行け行け」の状態になると、回収などという後ろ向きの仕事は一層蔑ろにされます。
このとき、「とにかく売ればいいんだ」という意識を、営業が持ってしまうことが多い。しかも、こうした意識を後で変えるのは難しい。急成長時には債権管理の穴はさして目立ちませんが、安定成長期になると、債権管理の巧拙が収益力に差に歴然と結びついてきます。
営業の回収責任は、制度として明確にする必要があります。
1つは、毎月、回収予定表を経理に提出させる(これは資金繰りの資料になる)。2つは、回収遅延が明らかになった債権について、調査報告書を社長宛で提出させる。3つは、債権回収を営業の人事考課に組み込む。たとえば、回収予定に対する実績率、期日内の債権回収率などです。
A請求管理・回収管理
請求行為は債権回収の第一歩です。しかし、ここでつまづいている会社も多くあります。売掛金の締日を迎えたら、遅滞なく漏れなく請求書を作成・発送しなければいけません。得意先によって締日が異なる(10日締とか、25日締など)場合もあるので、チェックリストを用意して請求管理するのが無難です。
一方、回収管理の基本は、売掛金の消し込み(入金の引き当て)にあります。日々の入金を売掛金の回収予定と照らし合わせ、回収遅延が生じていないか把握することです。先方の支払明細を確認して、債権債務の金額に不突号が生じていないか把握することです。しかし、残念ながら、これをタイムリーに行なっている会社は少数派です。
回収遅延や債権債務の不突合の把握が遅れれば、回収不能の危険性・金額はともに大きくなります。また、与信管理は、この入金状況の把握が適時にできることを前提としています。