(Q) パソコン減税をめぐる誤解とは?

(A) パソコン減税は、購入初年度の税額を小さくするだけで、翌年度以降はかえって増税になって最終的な税負担は変わらない。税金には冷静に対処しなければならない。

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(注:このコラムの対象とした「パソコン減税」は既に終了していますが、「政策減税」の意味を考える意味でご覧下さい。)

 今やパソコンは、家庭でも会社でも1人1台の時代になりつつあります。そこで購入を検討しようと量販店のチラシを見ると、「事業主の皆さんは、パソコン減税が適用される今年度中にパソコンを買った方が有利」などといった売り口上が載っていることがあります。

 果たして、このチラシの言っていることは正しいのでしょうか。


――●パソコン減税とは

 まず、パソコン減税について確認しておきましょう。

 通常、パソコンを購入したときは、税務上、その購入金額を一括して取得した年の経費とすることはできません。減価償却といって毎年経費として認められる金額が定められており、6年かけて経費に落としていくのです。

 これに対し、パソコン減税とは、パソコンをはじめとする、一式100万円未満の情報通信機器を平成12年3月末までに購入した場合には、例外的に取得した年に一括して経費として認めるというものです。

 パソコン減税を利用すれば、その年の経費が増えて所得を減らすことができる。その分、税金も安くなる。これがパソコン減税のしくみです。


――●パソコン減税の誤解

 しかし、パソコン減税の損得はもっと冷静に考える必要があります。購入した年だけを見れば確かに「減税」ですが、最終的な税負担は結局変わらないのです。

 もう一度パソコン減税を確認してみましょう。それはパソコンを買った場合、通常6年かけて経費として落とすところを、取得した年に一括して経費処理することを認めるものです。通常の場合でも、時間がかかるだけで経費参入自体は認められます。両者の違いはタイミングの問題でしかないのです。

 両者の違いを数字を使って説明しましょう。今、毎年の利益が100万円計上される会社があります。この会社が90万円のパソコンを購入したとします。このとき、通常のケースとパソコン減税を適用するケースのモデル計算は次のようになります(税率は40%。計算は厳密なものではありません)。

 (購入初年度)
 【減価償却費】 通常:90÷6=15            パソコン減税: 90一括
 【 税 額 】 通常:(100−15)x40%=34     パソコン減税:(100−90)x40%=4
       ⇒よって初年度は、パソコン減税により30万円税金が安くなる。
 (2年目〜6年目)
 【減価償却費】 通常:90÷6=15             パソコン減税: ゼロ
 【 税 額 】 通常:(100−15)x40%=34     パソコン減税:(100−0)x40%=40
       ⇒よって2年目以降は、パソコン減税を適用した方が毎年6万円税金が高くなる。
 (1年目〜6年目合計)
 【減価償却費】 通常:15+15x5=90            パソコン減税:90+0x5=90
 【 税 額 】 通常:34+34x5=204           パソコン減税:4+40x5=204 
       ⇒最終的な税負担は、通常のケースもパソコン減税のケースも同じである。

 上記の計算から、パソコン減税は購入初年度の税額を安くするだけで、最終的な税負担までも軽くするものではないことが理解できるでしょう。パソコン減税は、「見せかけの減税」に過ぎないのです。

(厳密に計算すれば、パソコン減税の方が数千円から数万円税負担は軽くなります。また、成長企業にとっては、当座の税負担が軽くなる分、目先の資金繰りは楽になるという効果があります。)

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