(Q) 失敗する投資のパターンとは?

(A) ダラダラ、ズルスルとした投資は必ず失敗する。

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 事業活動は、「投資」の連続です。設備投資や株式投資だけが投資ではありません。お金を遣うことは、すべて投資です。人材を採用するのも、販促キャンペーンを張るのも、在庫を積み増すのも、みな等しく投資です。この投資において失敗するパターンとは、どういったものでしょうか。


――●「閾値」とは

 「閾(しきい)値」という言葉をご存知でしょうか。一般に、この言葉を説明する際には、ゴルフの練習が引き合いに出されます。

 何事もそうですが、ゴルフも単にコツコツと練習すれば上達するというものではありません。大事なのは、短期間でいいから、まとめて練習する期間をつくることです。たとえば、3年間地道に月1回の練習を続けたとしても、過去に根をつめて練習したことのある人には、たとえその人が3年ぶりにプレーするとしてもかなわないのです。

 閾値とは、いわば「開眼」するために、一定期間内に必要とされる練習量のことです。それ以上行なわないと効果の現れないレベルのことです。

 経営活動で言えば、広告宣伝が閾値の好例でしょう。新製品の広告を行なうときには、まず消費者に製品を認知してもらうべく集中的に広告を打ちます。そして、認知が得られたら、その後は忘れられない程度に広告を流していきます。漫然と中途半端な広告出稿を続けても、効果は得られません。


――●「閾値」の上昇

 ここ数年、この閾値が高くなってきています。投資のハードルが上昇しています。

 最近、内外で頻繁に起こっている、超大型合併や大企業同士の大型提携の背景の1つには、この閾値の上昇があります。

 たとえば、クライスラーとベンツの合併。自動車業界では、環境対策や次世代交通システムへの対応などで、莫大な開発費が必要とされています。1社ではとても負担しきれないため、業界の再編・グループ化が進んでいるのです。

 提携の例としては、DRAM半導体事業での、NEC-日立、東芝-富士通の提携を指摘できるでしょう。それまで互いにシノギを削っていたライバル同士の企業が提携するなど、つい数年前までは想像もできないことでした。

 半導体の開発には、数百億円以上もの巨額の投資が必要です。開発競争も激しい。その一方で、汎用の半導体であるDRAMは価格の下げ足がはやい。DRAM事業では、他社に先駆けて新世代のメモリーを開発し、価格の高い時期に先行者利益を享受して一気に投資の回収を図る必要があるのです。

 このようにDRAM事業はリスクが大きい。日本の総合電気メーカーでは、ここ数年、DRAM事業の赤字が全社の収益を圧迫してきました。提携は、増大する開発費負担に対し、リスクの分散化を狙ったものです。

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 上に挙げた例にとどまらず、開発費やシステム費の負担が、経営の閾値を押し上げています。ベンチャー企業にとっては、この閾値は参入障壁を意味します。市場参入する際には、この閾値(必要な初期投資)の把握は欠かせません。

 現代の経営判断の中では、販促活動のような日常的な投資も含め、メリハリのきいた投資行動が必要とされます。資金力に乏しいベンチャー企業にとっては、なおさらのことです。閾値を意識した、慎重かつ大胆な投資判断が求められるのです。

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