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 ▼ vol.29(2/3/00)

 本文(本文については、ウェブページの方が読みやすくなっております)
 From Editor



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        ◇◆◇ メールで学ぶ 起業家のための財務管理 ◇◆◇  
 
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  このメールマガジンは、起業家の視点に立って財務管理の基礎知識を確
 認し、事業運営上の問題を探っていくことを目指したものです。

  キャッシュフローの3回目です。少し小難しいかも知れませんが、キャッ
 シュフローの3要素の1つ、営業キャッシュフローの計算方法を理解してお
 きましょう。
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■財務の基礎知識
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 (Q) キャッシュフローとは?
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 (A) キャッシュフローとは、事業活動の結果、資金がどのようにどれだけ
    増えたかを指す。
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 【解説】3/5

 ――●営業キャッシュフローの計算

  営業キャッシュフローは、会計上の利益に調整計算を加えて算出します。
 営業キャッシュフローは基本的には会計上の利益と重なる部分が多いので、
 それに調整を足して計算する方が効率的だからです。

 (キャッシュフローをダイレクトに求めることも可能です。しかし、利益と
 資金の関係を理解するには、利益をベースにした計算方法で理解する方が望
 ましいと考えます。)

  営業キャッシュフロー
    =会計上の利益+キャッシュフロー上の調整項目

  ここで、調整項目は以下の2つのパターンに分けられます。

 (A)利益計算には含まれるが、キャッシュフロー計算には入らない項目
 (B)キャッシュフロー計算には含まれるが、利益計算には入らない項目

  したがって、利益計算をベースにキャッシュフローを求めるには、会計上
 の利益からパターンAの金額を外し、パターンBの金額を加えてやればいいと
 ことが分かります。

  パターンAの項目として挙げられるのが「非資金費用」です。「非資金費
 用」とは、減価償却費などのように現金支出を伴なわない数字上の費用をい
 います(減価償却費は、設備などを買ったときにキャッシュアウトがあり、
 償却費を計上する時点では資金の流出はありません)。

  こうした「非資金費用」は、利益の計算上は現金払いの人件費などと同様
 マイナス計算されています。しかし、そのタイミングでお金が出ていったわ
 けではありません。そこで、キャッシュベースで考える場合には、その分を
 戻してやる必要があるわけです。

  もうひとつのパターンBの項目として挙げられるのは、運転資本の増減額
 です。

  運転資本の増加は、これまで何度か説明してきたように資金不足の拡大を
 意味します。すなわち、利益計算自体には直接影響しないものの、キャッ
 シュフロー上は確実にマイナス要因なのです(たとえば、在庫を増やせば利
 益は減りませんが、現金は減ってしまいます)。

  そこで、会計上の利益のマイナス項目として運転資本の増加額を調整する
 のです。

  以上をまとめると、営業キャッシュフローの計算は、次の算式で求められ
 ます。

  営業キャッシュフロー
    =会計上の利益+非資金費用(償却費)−運転資本の増加額


▼次号に続く

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 ■制約条件理論(TOC) その3

  まず、過去2回のポイントを確認しておきましょう。

 ・制約条件理論とは、企業活動の中で最も弱い部分(制約条件)に着目し、
 そこを集中的に強化・改善することにより、最小の努力で最大の成果を上げ
 ようとするマネジメント手法である。

 ・TOCは次のような5つのステップで構成される。

  1)制約条件を見つける
  2)制約条件を徹底的に活用する
  3)制約条件以外を制約条件に従属させる
  4)制約条件の能力を向上させる
  5)惰性に注意しながら上記ステップを繰り返す

  TOCは、工場の生産スケジュールの改善から出発したですが、その後、ス
 ループット会計という管理会計手法や問題解決のための思考プロセス、さら
 にはクリティカル・チェーン法というプロジェクト管理手法にまで発展しま
 した。

  これらの領域に関しては、筆者がまだ消化しきれていないこともあり、紹
 介は「いずれ」とさせていただきます(スループット会計などは、現在のこ
 のメルマガのレベルを超えてしまうこともあり)。

 (TOCに興味をお持ちになった方には、『TOC革命』(稲垣公夫、日本能率協
 会マネジメントセンター)あたりが入門書としてお薦めです。)


  さて、最初の回の繰り返しになってしまうかも知れませんが、TOCの示唆
 するところについてあらためて考えてみたいと思います。ポイントは2つで
 す。1つは、常にボトルネックにフォーカスするものの考え方、2つは、全体
 最適と部分最適の峻別の問題です。
 
  1つ目のボトルネックの問題は、わざわざ取り上げるまでもないことなの
 かも知れません。私たちは、何か問題にぶつかったとき、無意識のうちにど
 こがネックになっているかを探し、そこをクリアしようと試みているはずで
 す。

  しかし、問題が少し複雑になると、この当たり前の思考法がどこかに飛ん
 でいってしまうということはないでしょうか。あるいは、狭い範囲でものご
 とを考えすぎるために、本当のネックが見えなくなってしまうということは
 ないでしょうか。

  難題にぶつかって頭の中がモヤモヤしてきたら、原点に立ち返って広い視
 野からボトルネックを探し、それをクリアすることでブレークスルーを図
 る、こうした思考法を意識して習慣化していけば、ものごとの解決も早く
 なっていくような気がします。

 (筆者自身が「訓練」しているところなので、効果のほどは何とも言えませ
 んが。)

  
  次に2つ目の部分最適・全体最適の問題に移りましょう。

  TOCのステップの3番目は、「制約条件以外を制約条件に従属させる」でし
 た。TOCを実践する上では、このステップがいちばん厄介なような気がしま
 す。

  生産工程を考えた場合、TOCに従えば以前にも説明したように、ボトル
 ネック工程以外の工程は生産能力に遊休が生じても製造量(操業度)を下げ
 る必要があります。

  果たして、単に号令をかけるだけでこうしたことが実行できるでしょう
 か。答えは否です。操業度を下げる工程の責任者からすれば、操業度を下げ
 ることによる生産性のダウンは自分の業績評価からは除外されるということ
 が担保されないかぎり、安心して命令には従えないでしょう。

  人は、自らの業績評価を基準に行動するものです。その意味で、社員ひと
 りひとりは部分最適な行動を選択するものなのです。しかし、「複雑系」の
 時代にあって、部分最適と全体最適がマッチしないことも多くなりました。

  今、トップマネジメントに求められているのは、全体最適の視点からきめ
 細やかな業績評価を工夫し、ひとつひとつの部分最適を全体最適へとコー
 ディネートしていくことなのです。
  
 (了。業績評価の問題に関しては、いずれ本文で取り上げます。)
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