[次の号] [この項のトップに戻る] [HOME]

 ▼ vol.32(2/14/00)

 本文(本文については、ウェブページの方が読みやすくなっております)
 From Editor



  * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * vol.32* * 
                                   
        ◇◆◇ メールで学ぶ 起業家のための財務管理 ◇◆◇  
 
   * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *  2/14/00* * *
                        
====================================================================
  このメールマガジンは、起業家の視点に立って財務管理の基礎知識を確
 認し、事業運営上の問題を探っていくことを目指したものです。

  キャッシュフローの最終回です。キャッシュフローの計算式を振り返り
 ながら、どうすればキャッシュフローを増やすことができるのかを考えて
 みましょう。
 ===================================================================

■財務の基礎知識
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 (Q) キャッシュフローとは?
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 (A) キャッシュフローとは、事業活動の結果、資金がどのようにどれだけ
    増えたかを指す。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 【解説】6/6

 ――●企業経営の目的

  企業(経営者)は、投資信託のファンドマネージャーのような存在です。
 投資家(株主や債権者)は、投資目的で企業に資金運用を委託します。これ
 を受けて経営者は、資金を株式や債券の代わりに事業活動(実物資産)に投
 資します。そして運用益を投資家に還元する見返りに、手数料(役員報酬)
 や成功報酬(役員賞与)を手にするのです。

  結局のところ、企業経営とは投資活動そのものなのです。したがってその
 目的は、「リスクを最小にしながら、いかにキャッシュフローを極大化する
 か」にあります。

  なお、ここでいうキャッシュフローは、投資家にとってのキャッシュフ
 ローですから、分配の対象(原資)となるフリーキャッシュフローを意味し
 ます。

 ――●キャッシュフローを極大化するには

  ではキャッシュフローを増やすにはどうすればいいのでしょう。その方法
 は、キャッシュフローの計算要素を振り返れば自ずと答えが出るはずです。
 フリーキャッシュフローは次のように計算されることになっていました。

 ・フリーキャッシュフロー=営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー

  ここで、
 ・営業キャッシュフロー=会計上の利益+償却費−運転資本の増加額


  これより、個別項目を検討していくと以下のとおりです。

 <1>利益の極大化
  中長期的に見れば、利益とキャッシュフローの動きは必ず一致します。利
 益こそキャッシュフローの究極の源泉です。事業の付加価値を重視し、経費
 節減に努め、税金費用を抑えることで利益は確保されます。

 <2>運転資本の極小化
  これまでの日本企業では短期的な利益を偏重するあまり、運転資本の管理
 が蔑ろにされることがしばしばありました。製造単価を下げるために製品の
 大量生産を行い、結果、在庫の山を作ってしまうケースは頻繁に見られたこ
 とです。

  キャッシュフローの点では、運転資本管理も利益と同じウェイトをもちま
 す。この点を全社で十分に認識し、債権管理・在庫管理を徹底することが必
 要です。

 <3>投資の採算管理の厳格化
  日本企業の収益性の低さは、投資の採算管理の甘さにその原因が求められ
 ます。思い込みに走らず冷静に市場を見つめ、資本コスト(資本の調達コス
 ト)を意識して、投資を厳選すれば無用な資金流出は抑えられます。

             ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
  
  これらの点を意識したとも、結果として企業の成長局面では、(フリー)
 キャッシュフローがマイナスになることは必至です。しかし、「管理された
 マイナス」と「なってしまったマイナス」とでは、その意味合いはまったく
 違います。

  キャッシュフローを項目別に管理し、必要な施策を打っていくことで企業
 は存続・成長を保つことができるのです。


  <この項終わり>

***

-*--*- From Editor -*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*-
 ■キャッシュフロー補論その2

  唐突ですが、筆者には嫌いな言葉が3つあります。3つと言っても結局は同
 じことなのですが、それは、本末転倒、自己目的化、目的と手段の履き違え
 の3つです。

  これまでの会計のあり方にもこうした本末転倒があったように思います。
 その代表が、(会計上の)利益とこのシリーズで取り上げたキャッシュフ
 ローとの関係です。
 
  多くの皆さんにとって決算書として思い浮かべるのは、まず損益計算書
 (P/L)であり、次にバランスシート(貸借対照表:B/S)でしょう。

  ことほど左様に、今までの会計の枠組みは「会計=利益(計算)」となっ
 ていました。具体的に会計を学んだことがない人でも、無意識のうちにこの
 認識が刷り込まれてきたのです。

  しかし今回の本文で説明したように、企業の目的は投資家から委託された
 資金を増やすことであり、フリーキャッシュフローの創出こそが企業のよっ
 て立つしるべなのです。

  これも本文の繰り返しになりますが、会計上の利益なるものはキャッシュ
 フローの一要素に過ぎません。中長期的に見れば両者は一致するとはいえ、
 これまでの経営の中では利益とキャッシュフローの主従が逆転し、短期的な
 利益のためにキャッシュフローが蔑ろにされるケースがしばしばありまし
 た。


  さて、利益とキャッシュフローの関係を考えると、利益はキャッシュフ
 ローに先行するものであり、反対の言い方をすればキャッシュフローは利益
 の後からついてくるものです。

  この両者のタイミングの違いを生む最大の要因は、投資に対する計算の仕
 方の違いにあります。すなわち、キャッシュフロー上は、投資が行なわれた
 ときに全額マイナス計算されますが、一方、損益計算上は減価償却という手
 続きにより時間をかけてマイナス計算されていきます。

 (在庫の積み増しも同じようなタイミングの違いを生みます。)

  この結果、平準化された利益と比べるとキャッシュフローは当初のマイナ
 スが大きくなり、その反対にはじめに投資分をマイナス計算してしまう分、
 後のプラスが大きくなります。

  このように本来、両者の違いはタイミングの違いでしかありません。なら
 ば本末転倒は生じないはずです。だからこそ、利益を上げることが企業の目
 的とされてきたわけです。

  では問題の所在はどこにあるかと言うと、それは利益計算において先送り
 処理される投資が必ずしもキャッシュに結びつかなくなってきたという点に
 あります。 

  減価償却という手続きは、その投資が将来にわたって収益をもたらすこと
 を前提としています。しかしながら右肩上がりの経済が終焉を迎えた現在、
 その前提は必ずしも妥当するものではなくなってしまったのです。

 (在庫もすべてが売れるとは限りません。)

  このため、損益計算で経営をミスリードすることを回避すべく、キャッ
 シュフローへと会計の力点がシフトしてきたわけです。
-*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*-
***  

[次の号へ進む] [この項のトップに戻る] [HOME]