世紀の曲がり角と相前後して、経営の世界でも環境変化に対応すべくパラダイムの転換が進んでいます。それに合わせて、事業コントロールの手法も変容していますが、その特徴・トレンドとは、一体どういったものでしょうか。
――●トレンドの背景にあるもの
個別のトレンドを検討する前に、それらに底流する大きな文脈を押さえておきましょう。それは、「短期的な利益追求」から「中長期的な成長志向」へのパラダイム・シフトです。
この転換の背景には、「安定的で右肩上がりの経済」から「不安定で混沌とした経済社会」への時代変化があります。
高度成長期は「連続」した時代だったので、短期的な利益追求と中長期的な成長とは一致していました。そのため、「中長期」などという面倒なことは考えずに、ただひたすら目の前の成果獲得に没頭すればよかったのです。
しかし、不連続でうねりの激しい現在、目の前だけを見ていてはあっさりと激流に飲み込まれてしまいます。不安定だからこそ、ビジョンや戦略を大切にし、意識的に中長期的な成長を目指すことが必要になるのです。
単に流れに身をまかせていれば済んだ時代は終わり、うねりや渦を見極めながら、目指す方向を見失わないようにしなければならなくなったのです。
――●日本的経営と中長期的視点
このパラダイム・シフトを論じるとき、1つの疑問が生じます。「中長期的な成長志向」とは日本的経営の特徴ではなかったか、という点です。だとすれば、日本企業が低迷し、「失われた10年」にあえいでいる理由はどこにあるのでしょうか。
あるいはまた、バブル経済華やかなりし頃、「短期的な利益追求=米国モデル」⇔「中長期的な成長志向=日本モデル」という図式で、日本的経営が内外から賞賛されていたのは何だったのでしょうか。
逆説的な言い方ですが、けだし、日本的経営における「中長期的」視点とは、「中長期的なことは考えない」ことだったのでしょう。その1つは、「固定」することです。終身雇用しかり、系列取引しかり。ずっと先までレールを敷いて、後は何も考えずその上を突っ走るだけ。
だから、敷いたレールと時代の方向性がズレれば、方向転換がきかないし、無理に軌道修正を図れば脱線転覆してしまう。
もう1つは、問題の先送り体質です。「すべては時間が解決する」として、現状の改革と将来の見通しを放棄してしまった。経営における時間軸を都合よく引き伸ばしただけだった。
一方、現在求められている「中長期的」視点とは、前述したように、不連続な時代に適合し、変化に対応していくための座標軸のことです。その意味するところは、かつての日本的経営の特徴とはまったく異なります。