(Q) コスト管理・経費管理で前提となるポイントは?

(A) 製造コストや営業経費に関する意思決定は、後々にわたって大きな影響を及ぼす。先々のこと、全体のことを考えた慎重な意思決定が何より重要である。

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――●イニシャルコストとランニングコスト

 コストの分類方法の1つに、イニシャルコストとランニングコストというのがあります。イニシャルコストとは初期投資の費用のことであり、ランニングコストとはその後の運用・保有コストのことです。投資をする際には、イニシャルコストだけに目を奪われず、ランニングコストも考慮に入れなければならないということは、言わずもがなのことでしょう。

 ただ、実際のところイニシャルコストとランニングコストは別物ではありません。多くの場合、ランニングコストはイニシャルコストに規定されます。

 たとえばオフィスを借りる場合を考えてみましょう。広いオフィスを借りれば、家賃本体はもちろんのこと、光熱費だってかさむことでしょう。かなりの規模になれば、事業所税がかかってきます。この場合、イニシャルコスト(敷金保証金)とランニングコストには正の相関関係があり、オフィス選定時点でこれらのコストは決まってしまいます。

 このとき、原価企画の場合と同様、後になって(ランニング)コストを削減することには限界があります。せいぜい電気をこまめに消すとか、使わないスペースの電気をつけないとか、かなり限定的なことしかできません。

 事業規模を読み誤ったり、いわんや見栄を満足させるために過分なオフィスを構えることがあれば、貴重な事業資金はあっと言う間に消えていくことでしょう。


――●コミッテッド・コスト

 上述したオフィスの選定の問題には、更に考慮すべき点が残されています。仮に過大なオフィスを借りてしまった場合、その損失は契約期間終了時まで否応なく続いてしまうという点です。

 たとえば月100万円の賃料で2年間の賃借契約を結んだケースを考えてみましょう。この場合、決して100万円の契約をしたわけではありません。あくまで2400万円(100万円の2年間分)プラス敷金保証金の契約をしたのです。

 賃借料のように、一定期間にわたって固定的に総額で発生するコストをコミテッド・コストと言います。人件費もこうしたコストの代表例です(一度雇ってしまうと、簡単に解雇や賃下げはできません)。コミテッド・コストは、ある一定期間キャンセルがきかないというのが最大の特徴です。

 用語はともあれ、重要なのは契約総額ベースでものごとを考えることです。こうした性質のコストの場合、先々のコストまでコミットメントしてしまうものだと正しく認識することです。100万円の意思決定と2400万円の意思決定とでは自ずとその重要性が違ってくることでしょう。事の重要性を正しく把握することは、正しい判断への第一歩です。

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