ケーススタディー: マクドナルド「平日半額バーガー」の皮算用

 「大量販売」と「セット販売」による増益効果

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 先日の日経新聞(2000年2月19日夕刊)に「マクドナルドが『平日半額バーガー』、収益増へ強気の胸算用」と題して、以下の要約で始まる記事が載っていました。

「日本マクドナルドは14日から平日のハンバーガーを65円、チーズバーガーを80円とそれぞれ従来の半額に値下げした。百円玉1つでハンバーガーが購入でき、お釣りもくるという思い切った価格設定に、業界内外から「本当に利益が確保できるのか」と疑問の声も上がっている。同社は大量販売とセット販売によって平日の売り上げ、経常利益とも1割増と強気のそろばんをはじく。」

 記事ではこのあと試算を交えながらの解説が続くのですが、紙面の制約もあってかどうも分かりにくいものでした。そこで、同社が「強気の胸算用」の根拠としている大量販売とセット販売に分けて、筆者なりに「解説の解説」を試みてみましょう。

――●商品の原価情報

 具体的な計算の前に、新聞記事に依拠しながら皮算用に必要な情報を整理しておきましょう。

商品・セット

商品原価

販売価格 粗利

従来価格

新価格

従来価格

新価格

ハンバーガー

39円

130円

65円

91円

26円

フライドポテトS

38円

150円

150円

112円

112円

コカコーラS

28円

140円

140円

112円

112円

上記のバリューセット

105円

400円

350円

295円

245円

各商品の原価は、記事にあった、ハンバーガー30%、ポテト25%、コーラ20%をもとに計算

――●大量販売による利益の増加

 ではまずマクドナルドの損得を、ハンバーガー単品で考えてみるとどうなるでしょう。

 上の表から分かるように、ハンバーガー1個当たりの粗利は従来の91円から26円へと価格を下げた分だけ低くなっています。ここで、値下げ後の価格で従来の1個分の粗利と同じだけの粗利を確保するには、

  91円 ÷ 26円 = 3.5個

となり、単純に考えて売上が3.5倍以上になれば今回の値下げは成功と言えます。

 新聞記事によれば、果たして半額対象の商品の売上は前週比で初日が4.5倍、翌日は6.5倍となり、とりあえず勝敗ラインは十分クリアしているようです(藤田田社長は、認知度が高まれば販売数量は10倍になるとふんでいるという)。

 損得を具体的に計算すると、初日の対象商品の販売数量が115万個、前週が25.5万個(推計)であることから、チーズバーガーの注文はなくすべてがハンバーガーだったとして、

 従来: (販売数量)25.5万個 x (1個当たり粗利)91円 = (粗利)2320万円
 初日: (販売数量) 115万個 x (1個当たり粗利)26円 = (粗利)2990万円

となり、単純計算で1日当たりの粗利が670万円(2990万円−2320万円)増益になります(値下げ対象の「平日」を年240日とすれば、年間で1億6千万円の増益。ちなみに藤田社長の目論見どおり販売数量が10倍になれば、年間10億円の増益になる)。

 大量販売による効果には、以上のような計算が背景になっています。

次ページに続く▽

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