個人事業の場合、決算期は12月と決められており、暦年1年間の事業結果に基づき税務申告を行ないます。一方、法人の場合は決算期を自由に決めることができ、会社設立時の決定事項の1つになっています。日本では3月決算が主流ですが、単純に「右にならえ」でいいのでしょうか。
――●資金需要の分散化
決算期を考える上で、まず考慮しなければならないのは資金繰りです。決算月によって納税のタイミングが違ってくるからです(決算の2ヵ月後に前年分の税金を納付)。
本来、納税が発生するということは利益が出ているということであり、その分の資金も確保されているはずですが、ベンチャー企業では事情が違います。利益は出ていても、設備投資などで資金的には余裕がないことも多いからです。
こうした状況の中では、たとえば4月決算だと資金繰りに窮することになります。納税とボーナスの支給が6月末に重なるからです(冬のボーナスと中間納税がぶつかる10月決算についても同様)。資金調達能力に乏しいベンチャー企業にとっては、短期資金とはいえ、多額の借入れを行なうのは難しいのが現実です。
逆に、資金需要を分散でき、資金繰りがうまく回るのが7月、1月です。3,4,5月の入金で6月のボーナス資金を賄い、一方、6,7,8月の入金で9月の納税資金を作ることができます(なお、事業に季節性が強い場合には、資金繰りも変わってくるので、別途、資金に余裕ができるタイミングで決算を組む必要があります)。
――●決算処理を迅速・確実に行うには?
なぜなら、2月から3月にかけては確定申告の時期とぶつかり、会計事務所の繁忙期に当たるからです。そのため、決算処理が遅れがちになるおそれもあります。
――●経理業務の平準化という視点も必要
決算期を考える際には、このほか経理業務の平準化という視点も必要です。
たとえば、いわゆる年末調整を行う12月には、決算処理がぶつからないようにした方がいいでしょう。ただでさえ人が足りないのに多忙な時期に決算がぶつかると、決算処理が遅れるばかりでなく、臨時で人手を雇うなど余計なコストも発生してしまいます。
季節性の強い事業の場合、繁忙期が終わったタイミングで決算を組めるようにすれば、資金繰りの点からも、また業務の平準化の点からもスムーズな決算が進められるものと考えられます。
決算期は変更も自由です。その意味では、それほど厳密に考えなくてもという意見もあるでしょう。しかし、ポイントは、「資金と業務の平準化」などといった「視点」をもつことにあります。成り行き経営に流れず、小さな配慮を積み重ねることが事業の成否を決定づけるのです。