――●企業の「社会的信用」
事業形態を考える際に必ず論点になるのが、社会的信用の問題です。
中には、「信用は、経営者個人や商品・サービスに対するものなので、合名会社・合資会社でも構わない」という意見もあります。
しかし、簡単に作れる会社は、取引先からすれば安易な事業形態と考えがちです。出資金の額は、いわば事業意欲のバロメーターだ。取引先の立場になった場合、数百万円の資金も作れない経営者を果たして信用できるでしょうか。
また事業形態の問題を抜きに考えても、事業に資金は必要です。資金がなければ、会社はできても事業活動はできません。
一方、SOHOの場合、個人事業という形態も考えられます。しかし、安定して事業を進めようと考えるなら、法人組織にすべきです。個人の場合、営業や金融機関との取引で支障をきたすケースもあります。
ある経営者の話として聞いたところでは、「昔は個人にも下請を出したが、今はいつ逃げられるか分からないので、会社にしか仕事を出さなくなっている」そうです。
――●税務上の有利・不利
税務上の観点から見た場合、一般に法人成りした方が有利とされます。たとえば、SOHOで売上1,200万円、経費200万円、利益1、000万円のケースでは、法人形態の方が個人事業に比べ、60万〜70万円も税引後の手取りが多くなります(金額はケースバイケースですので、必ずしも確実とは言えません
。また、社会保険料を考慮した場合、有利不利が逆転することもあります)。
これは、法人形態の場合には、役員報酬(役員に対する給与)を会社の経費にして所得を分散し、かつ個人の所得(役員報酬)についても、税務上有利な取り扱いを受けられるからです(役員報酬は「給与所得」といって、所得金額に応じ、実際に使った使わないにかかわらず経費枠が認められます)。
(但し、役員報酬の水準には注意が必要です。税務当局が、役員の業務内容や会社の利益水準に照らして高額と判断した場合、高額部分が会社の経費として認められず、会社の税金が高くなってしまう可能性があります。)
――●望ましい事業形態は
本格的にベンチャーを目指すなら、言うまでもなく株式会社にすべきです。世間では、株式会社こそ一人前の会社であり、そうでないと仮に優秀な技術を持っていたとしても軽く見られがちです。
有限会社や合名・合資会社は、過渡的な事業形態でしかありません。これらの形態で設立した場合には、万策を尽くして株式会社への転換を図るべきです。