(Q)  土壇場の資金繰りで考えるべきことは?

(A) 「腹のくくり」をした上でものごとに優先順位をつけること

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 財務コンサルティングという業務の性格上、資金繰りにつまった会社から相談を受けることがあります。それも、月末の資金繰りが見えない段階で話が来ることが大半です。残り2、3週間では打てる手にも限界があり、生き延び られる場合もあれば、時間切れに終わるケースもあるのが現実です。

 それでは、経験も踏まえて土壇場の資金繰りで考えるべきことを述べてみましょう。

 但し、以下に述べることはあくまで土壇場での対応であることをご理解下さい。また、事業継続を前提に可能性として考えられることを参考として挙げたものであり、何ら実行を推奨するものではありません。状況によっては逆効果を生むことがあり、法的・道義的に問題を生じる場合があります。一切の責任は負えませんので、あらかじめご了承下さい。


――●
まずは状況の認識と腹のくくりを

 私が「土壇場仕事」ではじめにすることはとりあえず資金繰りの確認ですが、それと同時に経営者がどれだけ状況を認識しているかを見極めます。というのは、資金繰りが立たずに相談している状況にもかかわらず、漠然と「何とかなる」と現実逃避している方が多いからです(だからこそ状況を悪くしてしまったとも言えますが)。

 人間は悪い状況には目をそむけがちです。でも、放っておけば会社は潰れます。土壇場を乗り切るにはそれこそ地べたを這いつくばるようなことが必要です。恥を忍ぶことも多いでしょう。ただ、それを避けたらもっと悲惨な状況が待ち構えています。

 経営者が「本気」にならないことは会社の存続はあり得ません。まず、冷静に状況を認識する必要があります。むしろ、一旦、最悪のケースを自分の中で消化してしまうと気持ちが楽になることもあります。腹をくくって本気で動けば、それこそ「何とかなって」しまうこともあります。


――●「入」と「出」の調整

 さて、具体的な資金繰りに話を移しましょう。合わない資金繰りを合わすにはどうすればいいか、当然ながらおカネの入と出を調整するほかありません。

 「入」に関しては、@借りる、A債権回収を早める、B資産をおカネに変える、「出」に関しては、C支払を延ばす、D支払を止める、この5つのパターンの中でできることがないか とことん頭をひねるわけです。

 項  目

留 意 点

 @借りる

・親類や金融機関からの借入はできないか

 A債権回収を早める

・売掛金やその他の債権について期日前に支払をしてくれるところはないか
・滞留債権で回収できるものはないか

 B資産をおカネに変える

・売却できる資産はないか(法人・個人問わず)
・担保となる資産はないか(売掛金・保険など)

 C支払を延ばす

・支払に優先順位をつける

 D支払を止める

・役員報酬、銀行の元利支払など


――●
対策を立てる際に留意すべきこと

 こうした対策を考える際にまず留意すべきは点は、時間軸で対策を考えるということです。土壇場にある以上、1つの対策で資金繰りが落ち着くことはないでしょう。それぞれの対策はすぐにできるものもあれば、1ヶ月や2ヶ月時間がかかるものがあります。時間軸に合わせてそれぞれの対策を組み合わせていくわけです。

(単純な例で言えば、支払を1ヶ月先延ばしにして目先をしのぎ、その間に借入の準備をして対応するようなことです。)

  対策は当然ながら目先の対策が最重要なわけですが、その中心は支払スケジュールの見直しです。すべてを支払うことはできない以上、すべからく支払に優先順位をつけることになります。

 支払の優先順位は「支払わないとまずい」ものから支払をすることになります。一般にまず手形が最優先で、次に取引先への支払と給料、銀行への支払や公租公課(税金や社会保険料)は後回しにされます。

 手形は不渡りになるとその時点で倒産ですから、手形が最優先です。取引先も信用を失うと事業継続できないので優先、特に零細で支払延期が倒産を招くところも優先です。給料は遅配すると途端に雰囲気が悪くなり、内部崩壊が始まるのでできるだけ優先すべきです。

 また、土壇場になっても金融機関を恐れて借入返済を資金繰りに入れているケースがありますが、支払を止めたところですぐに何かできるわけではありません。銀行支払を優先したがために資金繰りがもたなくなってはナンセンスです。

 なお、手形の支払を最優先と書きましたが、まずはジャンプが可能なところは繰延交渉をすべきです。

 
 支払の繰延にせよなんであれ、すべての関係者と交渉することはできません。時間が限られている以上、対策の相手にも優先順位をつける必要があります。交渉相手としては、@時間のかからない相手(親類など)、A対策の効果が大きい相手(大口取引先など)を選ぶことになるでしょう。

 さらに交渉相手を選ぶときには、「自社がつぶれたら困るのは誰か」を考えることです。たとえば、下請けを抱えて連鎖倒産を起こしかねない会社であれば、金融機関(とりわけ信金などの地域金融機関)にとっては影響が大きいので面倒をみてくれる可能性があります(都銀や上位地銀では難しいでしょうが・・・)。

 そういった意味でも開き直るくらいの腹のくくりが必要なわけです。


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