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(Q)「売上が増えると資金繰りが苦しくなる」とは、どういうことか?

 

(A)一般に仕入の支払いの方が売上代金の回収に先行するため、売上が増えると先行する支払いも増えて、資金が不足するということ。

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 収支ズレの水準は、業種・業態によって大きく異なります。有利・不利があると言った方がいいでしょうか。

――●業種・業態と収支ズレの水準

 いちばん不利なのは、開発型の事業です。この場合、製造プロセスの前に長期の開発プロセスが加わります。新規に事業を始めた場合には、長期にわたってまったく売上が上がらないこともあります。体力がどの程度もつのか見極めながら、慎重な資金管理が求められます。

 次に不利なのは、製造業でしょう。もっとも、一口に製造業といっても製造プロセスに要する時間はマチマチでしょうから、リードタイム次第で有利・不利はかなり違ってくるはずです。裏を返せば、生産のリードタイムを短縮することで収支ズレを圧縮し、資金繰りを良化させることができるのです。

 製造業に比べると、製造プロセスを抱えない卸売業や小売業は有利です。特に小売業では現金商売で回収プロセスはゼロですから、収支のズレが逆転する(収入が先になる)こともあります。卸・小売業では、販売活動が事業の中心ですから、商品の回転を早くすることが資金繰り改善のポイントになります。

 サービス業では、収支ズレを考える際のロジックが少し異なります。仕入がないからです。敢えて言えば、サービス業における「仕入」は「ヒト」です。人件費は当月内の現金払いで行なわれます。したがって、サービス業では回収プロセスに時間をかけるわけにはいきません。サービス業の回収期間が短いのは当然のことです。

 業種・業態によって収支ズレの水準が異なるのは、それぞれに事業のプロセスの重点が違うからです。収支ズレを圧縮し、資金繰りを円滑なものにするためには、それぞれのポイントとなるプロセスを短縮していく努力が大切です。



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